医療と主体
健康寿命
治療中、高齢の男性が「こんなに技術が進歩したのに
爪は自分で切らんとおえんのじゃなぁ。。」
また別の女性は「早うお迎えが来んのんかなぁ。。」と言いました。
8年後の2025年、75歳以上が4人に1人、いわゆる超高齢化社会を迎えます。
病気などで苦しむ人を救ってきた医療が、寿命の延長に貢献したはずが
一方で介護の需要を生むという皮肉な出来事だと思います。
2012年ips細胞でノーベル生理学医学賞を受賞した京都大学の山中教授が
現在の健康寿命から寿命の間、約10年間をips細胞を使った医療で助けたいと言っていました。
率直に素晴らしいと感じました。
川平法(促通反復療法)の考案者である鹿児島大学の川平教授は
現場で行われているリハビリは、目標の運動実現まで頑張らせれば何とかなるというものが多く
それでは患者、術者ともに無駄な時間を重ねている。
術者は目標の神経路に誘導し、患者はそれを確実に実行しなければならないと言っています。
2人の高齢者のように、長く生きることで日常に苦痛や困難を感じることは
全ての人に訪れる事実です。
どんなに医療が進歩しても、それらを完全に取り除くことは難しいでしょう。
しかし、科学技術の進歩や、研究を重ねることで明らかにされた事実などで得られた素材を
的確な目標に誘導し、確実に実現すれば多くの苦痛や困難は克服できるかもしれません。
健やかな将来は、医療のみの一方的なものではありません。
医療と主体、両者の相互扶助によってのみ得られるものだと思います。
年を取るのは良いものだ、という社会になれば本当に素晴らしいと思いますが
その一端を担っていると思うと、重責を実感します。