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筋力測定

スポーツ傷害

寒波到来、陸上選手は冬期練習半ばのことと思います。

昨日、学生を連れて川崎医療福祉大学へ行きました。

以前からスポーツ選手に限らず
筋力の左右差、拮抗バランスの隔たりが大きいほど
故障や痛みリスクが高いと、文献や経験から思っていました。

目視や、触診、トレッチ時の抵抗感だけでは信憑性に乏しく
補強を提案できても懐疑的なところがあります。

数値化、可視化で疑いを少しでもクリアにしたいと考え
旧知の仲の医療技術学部/健康体育学科准教授、陸上競技部顧問の脇本先生に尋ねたところ
バイオデックス、InBodyで体組成と筋力評価を快く引き受けていただきました。

結果からウィークポイントを鍛えればスキルアップにつながるという
短絡的なものではないと思うし、詳しい評価はデータから読み解く必要がありますが
感覚と実際の擦り合わせ、直接的な筋力アップ、結果に至らない問題点のあぶり出し
などを行ない今後の練習に反映したいと思っています。

学生の想像よりきつかったらしく良い練習になったようです。

長時間お付き合いいただきありがとうございました。

その偏りは特徴か、不足か

スポーツ傷害

今夏は帰省を止め、久しぶりに盆休無しで過ごしましたが
盆休返上で大会に臨む中高生に多く来院いただき
その意味で休まず鍼療したことに満足しています。

多くは陸上でしたが、コンタクトのない競技特性上
不具合の原因は外傷性のものではなく慢性的に局所へストレスがかかったものと
推察されることが多く、治療の領域は患部にとどまらない
動きや補強にも言及しなければならなくなったと思います。

今は、幼少期から専門的な動きや負荷を取り入れていて
ある意味スポーツのプロ化を社会が望み推し進めていると思えます。

1990年中頃というと随分時間が経ったと感じますが
その頃の研究で、既に当時と約70年前の1925年のトップアスリートの身体には
はっきりと異なるパターンが存在していたことがわかっています。

例えば、世界的レベルの走り高跳びと砲丸投げの選手について
その身長と体重をグラフ化してみると、1990年中頃では
走り高跳び選手の平均値よりも砲丸投げ選手平均値の方が
身長が約6㎝高く、体重が約60㎏多い。

ざっくり言い換えると、昔のトップアスリートは
競技内容種目問わず、平均的と言える同じような体型体格であったが
現代は種目に特化したものに変わっているということです。

このことは日頃の臨床でも感じていて、中高生くらいになると
聞かなくても種目が当てれてしまうことがしばしばです。

この善悪論理ではなく、専門性に特化した身体と
形態的機能的に未熟であることの見極めをしなければならないことが
とても難しいのです。

陸上で言えば、走る競技は基本的にシンメトリーで考察すれば良いと思いますが
跳躍、投擲などでは左右差が生じ、例えば大腿の周径が違ってくるため
身体的特徴と捉えるか、筋力不足や動作の偏りと考えるかがとても難しくなります。

しかし、痛み症状は逆算すれば必然的にこの問題は解決に至ると思っていて
静的動的に形態動作を観ていけば詰まるところがあります。

心身ともに著しく成長する時だからこそ
気づきや修正によって飛躍的に伸びる可能性を秘めていると感じます。

 

骨格に起因する肉離れ

スポーツ傷害

急に痛くなったわけではないが、徐々に痛みが大きくなってきて
気が付くと痛くて膝の曲げ伸ばしできない、という訴えで来院する陸上選手は多く
これはいわゆる筋肉痛(遅発性筋痛)の状態で回復を待たず
動作を繰り返したために肉離れに至ったものと考えられます。

肉離れと筋肉痛は、痛みの感覚は違いますが
生理学的に起こっていることは同じです。

いずれも伸張性収縮(筋が収縮(力を発揮))しながら
その長さが伸(びる)展する筋収縮によって筋損傷が起こった状態です。

陸上競技の場合、肉離れが起こりやすいのは
圧倒的にふともも裏(ハムストリングス)の大腿二頭筋長頭と言われる部位で
全体の約半分とされます。

複数の関節をまたぐ多関節筋であり、かつ形状が鳥の羽のような羽状筋という
構造的な特徴がその要因であると指摘されています。

筋肉痛のまま練習を続けても肉離れに至らなかったり
そもそも速い動きをしても問題ない人と何が違うのか。

陸上選手がハムストリングスを傷める機序は、遠心性収縮が
振り出し動作によって生じるスプリント型と
切り返し時の床反力(外力)による股関節屈曲から生じるストレッチ型で
後者の方が重症になりやすいとされます。

推察するに、ハムストリングスは骨盤(坐骨結節)から起こるので
骨盤を中心とする構造に問題があれば損傷の可能性が高くなるのではと考えます。

現に、これで来院する選手たちは定量できませんが
ある部位が、一見していわゆる真っすぐな状態から大きく逸脱しています。

つまり、これを改善することは肉離れの予防になると考えます。

 

スポーツ万能なのに体が硬い

スポーツ傷害

弊院は小児鍼を行っていますが、成長期の不安定な心身調整名目よりも
スポーツによる体調管理で利用されるケースが圧倒的に多いです。

開院当初の想定とは違うというより想定外でした。

こどもの習い事の変遷をみると、スポーツが男の子で2,30年トップ
女の子はここ数年で音楽からスポーツに移行傾向だそうです。

いつの時代もそうでしょうが、その象徴といえると思います。

私も含め親の立場で考えると、自身の幼少期と比べ外遊びは減り
ゲーム、PC媒体の動画などが主な余暇時間の使い方になっているのが現状なので
体を使うスポーツへの依存は当然の結果と思います。

習い事なので、教える・教えられるという関係に基づきますが
印象として自立した大人になるためにという含みが
私の幼少期の習い事には多かったように感じます。

私の習い事が小6まで剣道だったからかもしれませんが
挨拶や日常の所作についての指導は、実際の練習同様に時間を割き
内容が扱われていたように思います。

スポーツは単に余暇を楽しんだり、社会性を育てるためのものではなく
今は将来の仕事となり得る可能性が広がってきました。

スポーツの捉え方は明らかにここ数十年で変わり
日本でも完全にビジネスとして成立しています。

そういう流れもあってか、習い事のスポーツは
専門性の高い身体動作を早くから取り入れ
大人顔負けのちびっこアスリートがどんどん増えてきました。

こうしたこどもの来院があり、体をみていると
スポーツをしているのに体が硬い子が多いということに気付きます。
(硬い身体でスポーツを行うリスクにはここでは触れません)

運動器(骨・筋などの軟部組織)が未熟かつ成長段階で
高負荷の刺激を加え続けた結果、一つのスポーツに特化した動きの意味で
直線的な動きしかできない、つまり偏った運動器の形成になっているのではと推察します。

更に、ある動きの再現時の神経(脳)機能は、大人は制御しようとする反面
こどもは統制的ではなくあくまでもイメージ優先のため
無意識に体に動きが刷り込まれていきます。

だから、骨の成長が止まる中高生になると成長した体にフィットしない動きの癖が抜けず
スポーツ障害に悩まされるという背景があるかもしれないと思っています。

当然、全てに当てはまるものではありませんが
成長過程だからこそ、こどもに必要な運動要素には幅があると考えます。

体幹筋を鍛えるとは

スポーツ傷害

寒さから暖かいを通り過ぎていっきに暑い陽気になってきました。
冬に地盤を固めてきた体にスピードを加え、例年の傾向通り
不具合を訴えるアスリートの来院が増えています。

練習の量と質を変え身体が順応できず不具合が生じていると思われますが
スムーズに移行できる選手がいることを考えると
形態的な違いを除いて、身体の使い方に問題があるというひとつの仮説が考えられます。

数年前からスポーツに限らず、健康や姿勢の概念で重要とされ始めた体幹筋。

体幹筋を鍛えるとパフォーマンスが向上したり
良い姿勢が保てると、暗に捉えられているように思います。

体幹筋の学術的な定義はありませんが
日本の体幹筋研究第一人者、金岡恒治氏によるとその構成は
腹横筋、多裂筋、大腰筋(深層(ローカル)筋)
外腹斜筋、内腹斜筋、腹直筋(浅層(グローバル)筋)とされます。

更に脊柱、肋骨、骨盤の骨格安定が得られない腹部の
横隔膜、骨盤底筋を加える考えもあります。

体幹筋とは、トルソ、つまり頭、腕、脚を除いた胴体を支持する
文字通り体の幹になる比較的大きな筋を指すと言えます。

これらを鍛えれば本当にパフォーマンスが向上したり良い姿勢が保てるのかというと
そうではないと考えます。

それは、鍛えるとは、高負荷をかけた筋トレで出力を上げるという理解ではなく
そもそもこれらは骨格筋という随意筋(意思によって動かせる)なので
意識して動かせるかという導入が不可欠だと思うからです。

歩くや走るは無意識下で行われる随意運動なので
出力(筋力)さえ上げれば速く行えると考えられがちです。

しかし、こうした動作は、大脳(皮質)という中枢部によって、関節、筋が
各々の活動パターンを制御されることで成立しています。

よって、どのような意識で運動を行うか(どこをどう動かすか)がとても重要で
体幹筋を意識して動かすという取り組みが必要不可欠と考えます。

現に、静止から運動を始めるときに最初に収縮する腹横筋を動かしてもらうと
できないケースが非常に多く、止まってできないものが動きながらできるとは考え難く
故障や不具合の原因の一つだと考えています。

 

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