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膝に起因しない膝痛

スポーツ傷害

スポーツ障害(いわゆるover use)で来院する選手は
ほぼ関節可動域の前後左右差を認めます。

何度か指摘していますが、シンメトリーな構造と機能を持った
人はいないと経験上考えますが、そうした中でも一定範囲を逸脱した状態下で
局所に刺激が入り続けたとき、症状として現れるのではないかと思っています。

厳密には、意識の有無に関わらず、自己制御が長時間保てなくなると
出現するのではないかと推測します。

単純に構造と機能の問題だけではないと考えますが
筋の張力バランスによって生じた関節機能の不具合は
我々の得意とするところです。

膝周辺の痛みを主訴とするランナーが続きました。

腰椎をメインとする下部脊椎、仙腸関節、足関節などの機能低下
有力な原因部位は異なりますが、結果として同じ膝周りに痛みを訴えます。

動きの連動を考えて筋張力のバランスを図り局所の鎮痛で著効をみます。

更に、筋力均衡を保つために必要な補強やストレッチも
加えてお伝えするようにしています。

 

関節の遊び

スポーツ傷害

痛みや強張りなどの不快症状の原因の一つに
マルアライメント(アライメント異常)が考えられ
これは日頃の臨床で優先的に基準として取り入れています。

ヒトの関節は解剖学的に可動域が設けられてはいますが
機械などとは違って、鮮明な境界はなく、よって理学療法でも
その終わりはエンドフィール(最終感覚)と表現されます。

何度も言及していますが、正しいアライメントと高いパフォーマンスは
完全なイコールではなく、この感覚という表現の部分
つまり関節可動域の遊びがとても重要だと考えます。

車のハンドルの遊びのような解釈です。
ハンドルを切ってすぐに車体が移動するのではなく
少しの時間、移動有余をもって車体が動くから
車にも乗っている人間にも負担が少なくスムーズな運転ができます。

ヒトの関節も遊びの部分はありますが、これが全身の連動にアンバランスが起こると
徐々に大きくなり、不快症状の原因となると考えます。

不快症状がないとしても、一通りチェックすると傾きは必ず存在し
そこから逆算すると筋など軟部組織の張力、触圧刺激の反応などに左右差をみます。

これが治療やトレーニングなどの道しるべとなり、未然に故障を防ぐとともに
高パフォーマンスに繋がります。

夏休みに入り多くのアスリートが練習、大会に奔走しています。

全力でサポートさせていただくとともに皆さんの活躍を願っています。

粘りと足首

スポーツ傷害

近頃、和式のトイレを見ることが随分少なくなりましたが
日本の洋式化の一つに椅子文化があります。

欧米は屋内でも靴を履いたまま生活することが椅子文化の要因の一つと考えますが
私的見解として、屋内で履物を脱ぐ日本では
やはり、地べたの生活のほうが日本人の体に適した形なのではないかと思います。

ランニングブームで、走ることで体に不具合を生じたり
また、それ自体思うようにできないといった方々の来院が増えました。

これは、ランナーに限ったことではないのですが
一通り全身のチェックをしたとき、足部の可動制限に多く遭遇します。

とくに背屈(つま先を上げる)、回内(小趾側を上げる)方向(外返し)への制限です。

子どもロコモを測る基本動作に『しゃがみ込み』がありますが
大人も含め、案外できない人は多く、その原因の一つに、外返し制限が考えられます。

ランニングにおいて最後に身体をコントロールするのは足(首)部です。

つまり、足(首)部に可動制限があると代償が生じます。

椅子の生活は、股関節、膝、足首を深く曲げることなく
立ったり座ったりができるので、とても楽チンですが
深く曲げるときに得られる関節の可動や筋力を失っています。

日本人が他の国々から称賛される忍耐や粘りは、言い過ぎかもしれませんが
地べたの生活がその一端を担っていたのではないかと思うのです。

 

筋損傷(≒肉離れ)

スポーツ傷害

筋損傷(≒肉離れ)は、当該筋のエキセントリック(遠心性)収縮により
起こると考えられます。

分かりやすく言い換えると、縮もうとする筋が
伸ばされることによって発生します。

外傷は別にして、ある動作を行うとき
ある動作は意識、無意識に関わらず、自分がその動作を行う意思をもって行われるのですが
意思に反して筋が反応してしまうわけです。

その原因は根拠があるわけではありませんが
想像するに、自分でコントロールできない範疇の力・スピードの中で
反射的に起こってしまうのだと思います。

痛めた組織は修復しなければ元通りの機能を果たすことができませんが
早急に炎症を鎮めることは、早期回復の基本であることは間違いありません。

普段、同じ場所を何度も傷める例に頻回に遭遇します。

消炎後、回復に向けた補強に取り組むことで、更に早い回復が見込めますが
何度も同じ部位を傷めるには必ず原因があります。

筋そのものの硬さで生じるなら
相対的に硬い部位、どこであっても発生しておかしくありません。

しかし、同じ部位ということは、周辺組織と比べて
そこに強い収縮力または張力がかかっていると考えて良いと思います。

これを、漠然と疲労で片づけてしまうと解決しません。
むしろ、疲労が原因なら強く、早い収縮は行えないので
原因として考え難いと思います。

逆に、快調に動けているならば、自分の感覚と筋収縮との間に
タイムラグが生じて損傷する可能性は高いのではないかと思います。

いずれにしても、当該部にかかる収縮力、張力を解放するために
細かく評価し均衡を保つ必要があります。

損傷後も、この作業により痛みの軽減を図ることは可能です。

予防、早期回復、両方の観点から
治療が有効だと思われる症例が2日続けてありました。

MTSS(≒シンスプリント shin splints)

スポーツ傷害

特に、ランニングによるスポーツ障害の代表格、シンスプリント。
その定義、分類は、近年変遷しています。

シンスプリントは、脛骨内側後面遠位1/3から中央1/3に疼痛を生じる
overuse症候群とされますが、下腿同部位に疼痛を生じる疾患が複数存在し
鑑別が難しいことから、定義の変遷が続き
近年、MTSS(medial tibial stress syndrome)で表記されることが定着しています。

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進歩が著しい、画像診断装置によって原因の絞り込みは可能となっていますが
スポーツの現場において、理学所見から判断することは、とても難しく
疲労骨折と鑑別を誤ってしまうと、予後に大きな影響を与えることになります。

MTSSは、およそ、骨の微細損傷、筋の疼痛と張り、両者の混合の3タイプに分けられますが
この妥当性についても、今後知見を要するとしています。

MTSSの原因は、筋腱の牽引損傷、脛骨への曲げ応力とされ
脛骨後面に停止する後脛骨筋がそれを担っていたという認識が強かったのですが
疼痛発現部位には、ヒラメ筋・ヒラメ筋膜、長趾屈筋も停止しており、その解釈は統一に至っていません。

しかし、圧痛の位置と筋の起始が異なるため後脛骨筋は否定されつつあります。

発生因子として、女性に好発、体格の増大
足部アーチ構造をはじめとするマルアライメントなどが考えられていますが
これも十分なエビデンスを得るには至っていません。

実際、普段、アーチ高率を計測し高値であるにも関わらず
MTSSと考えられる症例をみることもしばしばあり
客観的スケールだけでは、図れない部分が少なからず存在すると実感します。

多くのスポーツ障害は、練習を休むことなく克服すべきだし
それは可能だと考えています。

そのためには、慎重な評価、プレイヤーの環境整備が重要になります。

早期の全快復帰に向けて尽力します。

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