骨盤の動きの一部としての股関節内旋
骨盤
骨盤は上半身と下半身の真ん中に位置し
脊柱と下肢、それぞれに連携機能を果たしています。
言い換えると、脊柱と下肢から力を受けたり返したりするだけではなく
骨盤自体が動くことで、上半身と下半身の動きを全体としてスムーズに行えるよう制御しています。
よって、何らかの原因で骨盤の動きが抑制されると
身体のどこに不具合が生じてもおかしくありません。
骨盤も手足同様、複数の関節によって構成され、その動力は主に筋肉ですが
単独の筋肉が骨盤をコントロールしているわけではないので
上下、前後のバランスが均衡していなければ不具合が生じる可能性が高まると思われます。
歩行時、骨盤は水平面(体を輪切り)に対して回旋しますが
これが小さければ重心の側方移動が大きくなります。
つまり、地面と接する脚に身体を傾けて歩く姿勢をとります。
これを繰り返すこと、またこうしなければ安定した歩行ができないということは
骨盤周辺筋のバランス不均衡を意味します。
原因は、中殿筋などの股関節外転筋の機能低下と言われていますが
純粋な筋力不足、過負荷というより、骨盤周辺の相対的な筋バランス不均衡によると考えます。
特に股関節は、球関節(臼状関節)なので、ほぼ全方向に可動しますが
内旋のみ主動作筋が存在せず、中殿筋・小殿筋前部線維、大腿筋膜張筋
大腿骨粗線内側唇に停止する内転筋群、半腱様筋・半膜様筋(内側ハムストリング)が補助的に行います。
本来、機能を持つ筋が違う働きを担うというところが特徴的で
これが骨盤の動きに大きく関わるのではないかと考えています。
大きな力が必要という意味ではなく、他の筋の機能を殺さないようかつ
それ自体ほどよく機能するようというところに重要な何かがあると思います。
現に、股関節を大きく屈曲すると骨盤は後傾しますが
これを行ったとき、痛み違和感または他動的に感じる左右差がある場合
内旋補助筋のいずれかに張りや圧痛が生じていることが多いです。
ある動作、症状から問題箇所を探すのは難儀ですが
論理の追及と経験の蓄積で究明の幅は広がっていくと思います。