腰椎骨盤リズム(lumbopelvic rhythm)

腰下肢痛

運動連鎖によって、体のある部位の運動が関節を介して、離れた部位に影響を及ぼします。

これには、足から骨盤に向かう上行性と、骨盤から足に向かう下行性とがありますが
ご覧の通り、中心を担っているのは骨盤です。

また、骨盤と脊柱の関連性についても、上行性と下行性の概念があり
骨盤は、下肢、脊柱と連携する機能を果たすため
そのアライメントは全身に影響するといっても過言ではありません。

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しかし、骨盤は単体で空間上を運動するわけではなく
骨盤の運動は、股関節と脊柱の運動の結果になります。

矢状面(体を横から見た時)で体を前後屈させる動作では
骨盤を介して、腰椎(脊柱)と股関節の動きに連動性が存在し
これを“腰椎骨盤リズム(lumbopelvic rhythm)”と呼びます。

腰椎(5つ)の各分節の可動範囲はおよそ8°とされ、膝を伸ばした状態で手を床につけると
平均的な健常成人で腰椎40°、股関節70°がほぼ同時に屈曲するといわれています。

体がおよそ45°前傾した時点で腰椎の運動は制限され
その後、股関節と胸椎によって前屈が行われます。

一方、体を反らす場合、多くは股関節が先行し、少し遅れて腰椎が伸展します。

腰椎骨盤リズムは、股関節と腰椎の可動域制限を補完し合うため
どちらか一方の可動域制限を他方が代償します。

つまり、動きとして連動するが故、負の運動連鎖を誘発します。

見るからに悪い姿勢や、硬い動きは、負の運動連鎖を招き
筋、腱、靭帯などの軟部組織や関節にストレスを与え続けていると考えることができます。

歪みに起因する症状

腰下肢痛

普段、何もしないのに肩が凝るとか腰が痛くなる
と高齢の患者さんがよく言います。

痛みの原因を、一つに集約するのは難しいと思いますが
やはり不良姿勢はその原因の一つとして考えられます。

人間の体も建物の柱を縦横にした軸組みと同じく
骨と骨が関節によって繋がれることで、構造の基盤を形成します。

よって、柱が傾けば建物も傾くのと同じで、骨が傾けば体も歪みます。

問題は、少なからず歪みを原因とする症状が現れることです。

歪んだ骨に隣接する筋肉は、短縮あるいは伸張を強要され
長時間その信号を送り続けることが痛みなどの症状に繋がります。

例えば、体の中心に位置する骨盤は、脊柱と股関節との間に関節を有しますが
骨盤を適正な状態にコントロールするには、大腿、骨盤、腰椎にかかわる筋群の協調が必要になります。

いわゆる良い姿勢は、骨盤前傾と腰椎前弯を同時にコントロールする必要があり
それには多裂筋と腸腰筋の協調が必要です。

多裂筋と腸腰筋

多裂筋が収縮して腰椎を伸展させたあと
腸腰筋が活動して中間位になった腰椎を固定しなければいけません。

つまり、座面に浅く腰掛け背もたれに当たったり
猫背で立位を保持していると、多裂筋と腸腰筋の機能が破綻し
骨盤後傾、腰椎後弯となり、筋肉は短縮と伸張の信号を出し続けることになっているのです。

 

仙腸関節と上部頚椎

腰下肢痛

仙腸関節は骨盤帯の連結を担う重要な場所です。

平面関節というわずかに滑る動きしかしないとされる関節です。

動きが小さいということは、靭帯によって強固に繋がっています。

しかし、歩行やランニング時の非対称的な捻れによって生じる力を
そのまま中心に伝えることを回避させます。

よって、動きは非常に小さいながらも柔軟でなければ
骨盤帯やその上位、下位の機能障害を生じやすくさせると思われます。

腰下肢痛が主訴の場合、仙腸関節のアライメント及び機能は、間違いなく注目します。

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これと共に、重要なのが上部頚椎です。

第一頚椎(環椎)と第二頚椎(軸椎)は7つの頚椎の中でも、他と構造が異なっていて
回旋の50%をこの2つ(環軸関節)が担い、外からの物理的刺激や、内側の精神的刺激に敏感と言われます。

脳という神経の塊に近いにもかかわらず、その可動性が理由なのかもしれません。

一見、さほど影響ないような腰下肢痛に
この上部頚椎が加担していると考えられることがあります。

クラ二オセイクラル(頭蓋仙骨療法)。
オステオパシーの一種で、頭から仙骨までの骨、関節、軟部組織、神経系などの
機能を整えることで症状改善を図る療法です。

28個の骨癒合からなる成人の頭蓋骨は、それ自体が複数の関節を持つとも考えることができ
それを直下で支持する環軸関節
上からの力を吸収し、下からの力を分散する仙腸関節
そこには因果があってもおかしくなさそうです。

本日、腰下肢痛で伸展(体を反らす)困難が
上部頚椎の操作で緩解する症例がありました。

気を見て森も見る。
東洋医学の醍醐味です。

皮膚、筋膜からの連動

腰下肢痛

交差性トレーニング効果とは、片方の腕または脚の筋力トレーニングが
対側の筋力増加を引き起こすもので、アイソメトリック(等尺性収縮)
アイソトニック(等張性収縮)、電気刺激などによってみられます。

効果の程度は、筋収縮様式、トレーニング強度、頻度、速度などが影響します。

なぜ交差性トレーニング効果が起こるかは、中枢神経(脳、脊髄)レベル
特に、大脳皮質運動野の放射説が有力ですが、そのメカニズムはわかっていません。

また、大まかに連動の意味で考えたとき、片方の腕、脚の運動が
浅筋膜あるいは皮膚を介して対側に影響するということは否定できません。

浅筋膜は、深筋膜、骨膜、関節包、靭帯と連なって動きの伝搬を行い
これらは連続した組織です。

これを治療に反映させると、遠隔からの刺激が当該部
対側などに影響を与えることができます。

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動きの連動は、上肢-下肢、同側上下肢 (右上下肢、左上下肢)
対側上下肢(右上肢-左下肢、左上肢-右下肢)のパターンがあり
痛みや強張りといった機能障害は、これらの再現で理解できます。

本日も、急性腰痛で屈曲位(体を前に倒す)が困難な事例がありましたが
発痛部対側の肩関節の動きの操作で可能になりました。

この方法で全てうまくいく事例ばかりではありませんが
間違いなく可能性は広がっていると感じています。

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