連動

姿勢

身体が“硬い”と聞いてあまり良いイメージは持たない。

スポーツの世界では、身体が硬いとケガをしやすいと言われるが
実際、そうかどうかは置いておいて硬いことで動きに制約が出ることは間違いない。

走る局面で、股関節の硬さは一歩の長さに影響する。
つまり、柔らかいほうが長いストライドが得られる。

止まった状態で前屈すると、硬いかどうかすぐわかるが
それは動いても反映され、硬い動きになるので
止まった状態よりわかりにくくなるがそれでもわかる。

動くことでわかりにくくなるのは
動くということはある一つの関節とそこに隔たる筋肉のみが動くわけではなく
全体の動きになるからだと思う。

ということは、ある動きで必要な可動がバランスよく得られないと
動きの悪いところの補填を、何かが担うことになる。

これが、強張りや痛みといった症状に繋がるのだとすれば
止まった状態の前屈が柔らかくても起こり得ることになる。

単に、止まった状態の前屈という動きにおいて全体が機能しているのみで
違う動きになるとどうかわからないからだ。

PC作業で腰痛になる人は多いが
同じ姿勢を長く続けると疲れることは誰でも知っている。

しかし、腰痛になる人とそうでない人がいるということは
その人にとって、座った姿勢がバランスの良い状態かどうかということになる。

止まっているか、動いているかは問題ではなく
その姿勢に対する全体としての動きがスムーズかどうかということになる。

つまり、連動である。

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連動していない動きは動いているのではなく
自分でありながら、動かされていると言った方が良い。

そのように強いられているという受動的な意味でも
強張りや痛みなどの症状が出てもおかしくない。

その姿勢を取っているのか?取らされているのか?

何となくでも気付いている人がほとんどだと思う。

関節の許容範囲を超えた遊び

姿勢

寒さが増し夜明けが遅くなると朝起きるのがつらい。
朝、目覚めの悪い子どもを起こすのに布団を取ってしまうのは常套手段だ。

布団を取られた子どもは“さむ~”と天敵と戦う動物の攻撃的な感情を込めた言い方で
ごもっともで当たり前な文句を吐くのだが、それと同時に身体を丸めこむ。

誰に教えられたわけでもないこの格好を瞬時にするのだが
筋肉を収縮させ体温の放出を防ぐという本能のもとこうなる。

寒いという状況下ではほとんどの人がこれを無意識に作っていて
その時間が長く姿勢が普段からかけ離れているほど凝りや痛みの原因となる。

人間は動く生き物なので何を持って正しい姿勢かと問われると難しいが
止まった状態でいわゆる正しい姿勢であっても長時間続けると疲労が顕著に現れる。

人間の構築物としての機能の根本は骨格であるが
地震に強い家が揺れを逃がすための構造と機能を持つように
つなぎ目の関節には“遊び”があってこのわずかな遊びが一極集中の負担を逃がしているのだと思う。

背骨(脊椎)だけでも約30個(頚椎7(まれに8)胸椎12・腰椎5・仙椎5・尾椎3~6)あることを思えば
少しの遊びを超えた位置は知らないうちに構築物としての機能を損ない
凝り痛み強張りといった症状を作ってしまうのではないかと思う。

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そういう意味では現す姿勢はその人の状態全てで
見るに違和感のある姿勢は遊びを超えた関節の維持を意味し
症状はそれを素直に表現していることになる。

これを踏まえ、治療に際して硬くなった筋肉だけをターゲットにしていては
当然効果の持続はない。

症状緩解の主観と構築物として正しい位置にあるかという客観が求められる。

 

動かすことと安定させること

姿勢

身体を色んなパーツで分けたとき
各々が独立した存在になるが
ヒトとして活動するときそれぞれが関連して動く。

静と動

だからある一部の骨や軟骨などの位置異常は
他の部位に影響を与え痛みなどの症状を作る。

以上を運動連鎖と表現しがちであるが、狭義の運動連鎖とは
全体の中の一部と一部が解剖学的なつながりで
ある一部が動いたとき他の離れた部分に影響することである。

普段の臨床でどこかに痛みを訴えられると
何故そこに痛みが発生したのか、日常の生活内容や
姿勢などを尋ね、そこから遡って考える。

しかし必ずしも結果はパターン化されず
運動連鎖の観点からも無理が出てくることがある。

それは骨格の位置異常が大きいとき痛みなどの発信源から
離れたところへ影響する以前に姿勢による制御が
優先的に出てしまうことがあるからである。

痛みなどの症状が出ると知ってか知らずか
このような反応は人間の危機回避能力の高さの裏付けであると思われる。

ただ姿勢制御には表裏の関係という原則があってヒトの身体を
上半身と下半身で考えたとき互いに逆方向に動きやすい。

だから、例えば膝に痛みがある場合、気をつけの姿勢の位置修正を行うとき
下半身の修正で姿勢が悪化すれば原因が上半身にあると推測できる。

ということは、何もしないのに肩が凝ったり腰が痛くなるというのは
止まったときの姿勢、つまり身体を安定させようと制御していることが
既に症状を作る形になっているということも有り得ると思う。

 

正しいイメージ

姿勢

体には正しい使い方というものがあって
それは外からの見え方ではなく、内側のイメージのことであると思う。

脳

例えば、腰が痛いとき痛みが出ないように歩くが
痛くないときは腰に痛みが出ないような歩き方はしない。

しかし両方とも外からの見え方は同じである。

普段の何気ない動作はほとんどが無意識であるが
“痛み”という意識が加わることで内側のイメージに変化が生じ
客観的に同じ動きに見えたとしても当事者は違った動きをしている。

歪みや傾きは見た目にバランスが悪く、それよりも真っすぐなほうが綺麗である。

治療の評価の上でもそれはとても重要視するところであるが
何かを意識した結果の歪みや傾き
内側のイメージによるものがそれならば問題ないのではないかと思う。

スポーツの世界で活躍する選手の中で
形態上異常が見られるにも関わらず競技できていることがある。

ベテランサッカー選手の恥骨結合が不整であったり
プロ野球選手の肩や肘のMRIで明らかな異常所見があっても痛みなく投げられる
などの事実が実際に存在する。

これらは内側のイメージで意識された体の正しい使い方と言える。

ただ、体は複合的な構造が相互作用によって働くので
ある一部に焦点を合わせるのではなく
全体の構造理解とそれに適う正しい動きのイメージが必要である。

 

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