非合理的な日常がこどもの体力を作る
健康寿命
私が大学を卒業し社会人一年目に初めていわゆるガラケーを持ち始めて20年超
今ではスマートフォンは常識的、と言える約60%の個人が保有しているそうです(2016年総務省)。
身の回りのあらゆる機能を一台に集約した超便利グッズですが
一方で、健康被害を危惧する声も聞かれます。
スマホの使用時間が長い人ほど社会不安が高い
自宅でスマホを使い続ける人は仕事のストレスが回復しない
といった研究結果もあり、スマホがなければ不安に陥ったり
日常生活に支障を感じる人は多いのではないかと推察します。
普段、スマホを与えていない小学生の息子を見ていると
友達との情報伝達はもっぱら学校での対面で
そうでなければ直接出向く、というスマホ必須の大人からすると
非合理的、便利知らず、無駄骨、電気電波皆無の時代と何ら変わりません。
ご承知の通りこどもの外遊びは様々な理由で激減し
幼少期の体力作りはスポーツの習い事が担う時代です。
競技スポーツのケガや調整名目で小中学生の来院が多くありますが
稀に親御さんから日頃の基礎体力作りについて問われます。
私は、身体が成長過程のこどもに体力強化のトレーニングは
概ね必要ないと考えています。
なぜなら、スポーツによって競技特性は違いますが
たいてい身体が大きいこどものパフォーマンスが高い傾向にあるからです。
トレーニングによって得られた体力というより
形態的資質のほうが影響していると考えて良いと思います。
骨の成長著しい時期に高負荷を高頻度で強いると
スポーツパフォーマンスはおろか、以降の競技の弊害
身体の器質的な不具合などのリスクが大きくなると考えます。
また、現代習い事スポーツは、人類の運動不足解消のための
運動習慣動機付けも担っていると思うので
スポーツは楽しいという意識の植え付けが重要と考えます。
体力作りをスポーツで養っていなかった頃
こどもの体力は日常の生活や外遊びで育まれていたと想像できます。
いちいち自転車で友達宅まで向かう息子を見ていて
一見、非合理的に見えますが、これこそ体力作りだと思ったのです。
こどもの非合理的活動。支援します。
スマホ欲しがるこどもにいつでも与えることはできます。
本当の意味のこどものためとは。
欲しがるものを与えたときの喜ぶ顔。
満足しているのは実は親なのかもしれない。