生活は体(たい)を現す
健康寿命
関節と筋の関係は切り離せるものではなく、人の姿勢や動作に大きく関わります。
関節の安定を図る筋ですが、年齢や運動頻度によって
その大きさ、柔軟性は変化します。
普段、膝や股関節痛で来院される方は多く
年齢とともにハイリスクになる変形性関節症(OA)はその一端です。
しかし、なぜ、足は少ないのだろうと、ふと考えました。
OAは、関節への機械的刺激などが起因とされていますが
紐辿れば、関節を支持する筋力低下が考えられます。
各関節より上位、股関節は臀部、膝関節は大腿部
足関節は下腿部のそれぞれの筋が主にそれを担っています。
体の中心に近づくほど(筋体積が)大きくなりますが
裏を返せば使わなければそれだけ衰えるということでもあります。
実際、高齢の方を診ると臀部と大腿部の筋は非常に小さいのがわかります。
しかし、筋線維径が大きいのはヒラメ筋、腓腹筋(内側頭)の下腿部で
次に大腿四頭筋、大腿二頭筋長頭、半膜様筋等
最後に大腿二頭筋短頭、半腱様筋、長内転筋と大腿部のほうが小さくなり
下肢運動で股、膝、足各関節に対するはたらきの大小を表すと考えられます。
つまり、日常生活以上の高負荷(つまり能動的な筋運動)で中心部の筋は使われ
そうでなければ遠位の筋の役割が大きくなると推察できます。
結果的に、残存する機能的な筋が多いということは
関節機能も保たれることになるのでOAのリスクが少ないと勝手に解釈しています。
加えて、椅子、ベッドの洋式化された生活様式であっても
下腿部の筋は上位より優位にはたらきます。
畳、和式トイレは、今の生活には不合理かもしれませんが
実は、柔軟性や筋力を養うトレーニングだったと思っています。