留まることと動くこと
健康寿命
高齢の方と施術中話していると、“何もしてないんじゃけど…”
と、肩こりや腰痛の自己推察をされます。
一方で、スポーツやランニング愛好家は、ハードなトレーニングを
日常的に行った結果、痛みを訴え来院されます。
一見、静と動のように捉えられる両者ですが
私は痛み不具合の現れた部位からみると、同じ構図を想像します。
“座りすぎは死亡リスクを高める”という話はご周知かもしれませんが
世界に先立って、イギリスでは2011年に座りすぎガイドラインを作成し
就業時間中少なくとも2時間、理想は4時間座っている時間を減らして
立ったり、歩いたりする低強度の活動にあてるべきであると勧告しています。
長時間座位を強いられるビジネスツール椅子。
欧州では半立位のものが積極的に取り入れられ
長く座ることから生まれる弊害を減少させる取り組みを行っているようです。
長く同じ姿勢の意味で
高齢の方の動くことなくじっとしている様子
スポーツの体に動きを刷り込む反復練習
ビジネスの座位
は、見方を変えると同じポイント(身体部位)に継続的に荷重された状態と言えます。
イギリスガイドライン中の座位ではなく立ったり、歩いたりの表現は
決して動きなさいではなく、定期的に姿勢を変えなさいだと私は捉えます。
よって、勿論日常的な運動は身体を安定的に保つ有効手段ですが
慢性的な痛み不具合も、一部急性期を除き動かしたほうが早期改善が望めると考えます。
小さな子が眠っている間、縦横無尽に寝返りを打つのは
血流停滞に陥らないための自浄作用だと私は思っていて
大人になるにつれて寝返りを打たなくなるのは
身体の各器官が成熟し停滞リスクよりも安定を選択していると推察します。
森羅万象、消長リズムは普遍で、留まれば動き、動けば休むを
50/50に近く遂行することが健康であるための一つの考え方だと思っています。