機能としての歩行
ライフスタイル
先日、開院以来、最高齢と思われる来院がありました。
お一人でタクシーで来院されました。
杖は突いていましたが、足取りはしっかりされていました。
時代劇を見ていると、江戸から大阪まで歩くといったシーンがありますが
今の整備された道路でも約500キロ。
時速5キロで8時間歩いたとしても12.5日かかります。
(飛脚は3~4日で行っていたというから驚きです)
今は時間をお金で買う時代なので、速く移動するには
より速い移動手段を選べば意に沿います。
日本人は世界的に見ても働き者であるのは周知の事実ですが
時間に追われることが常態化するあまり
時間有余の時でさえ、車をはじめとする手段を選んでしまう傾向にあります。
マラソンやウォーキングは健康ブームの象徴ですが
本来、歩いたり走ったりすることは、手段ではなく人間が移動するための機能であるということを
再認識させる働きかけがあるように感じてしまいます。
私は、慣れは考える力や、本来もつ機能を失う危険を孕んでいると考えているので
ちょっとそこまでという感覚に、無意識に車に乗ってしまうのは
とても危険なことなのかもしれないと思います。
医学の進歩で、長寿は手に入れましたが
健康寿命を推進する意味では、それだけでは進歩ではなく
自助努力あっての健康寿命だということを想起させるこの度の来院でした。