関節の許容範囲を超えた遊び
姿勢
寒さが増し夜明けが遅くなると朝起きるのがつらい。
朝、目覚めの悪い子どもを起こすのに布団を取ってしまうのは常套手段だ。
布団を取られた子どもは“さむ~”と天敵と戦う動物の攻撃的な感情を込めた言い方で
ごもっともで当たり前な文句を吐くのだが、それと同時に身体を丸めこむ。
誰に教えられたわけでもないこの格好を瞬時にするのだが
筋肉を収縮させ体温の放出を防ぐという本能のもとこうなる。
寒いという状況下ではほとんどの人がこれを無意識に作っていて
その時間が長く姿勢が普段からかけ離れているほど凝りや痛みの原因となる。
人間は動く生き物なので何を持って正しい姿勢かと問われると難しいが
止まった状態でいわゆる正しい姿勢であっても長時間続けると疲労が顕著に現れる。
人間の構築物としての機能の根本は骨格であるが
地震に強い家が揺れを逃がすための構造と機能を持つように
つなぎ目の関節には“遊び”があってこのわずかな遊びが一極集中の負担を逃がしているのだと思う。
背骨(脊椎)だけでも約30個(頚椎7(まれに8)胸椎12・腰椎5・仙椎5・尾椎3~6)あることを思えば
少しの遊びを超えた位置は知らないうちに構築物としての機能を損ない
凝り痛み強張りといった症状を作ってしまうのではないかと思う。
そういう意味では現す姿勢はその人の状態全てで
見るに違和感のある姿勢は遊びを超えた関節の維持を意味し
症状はそれを素直に表現していることになる。
これを踏まえ、治療に際して硬くなった筋肉だけをターゲットにしていては
当然効果の持続はない。
症状緩解の主観と構築物として正しい位置にあるかという客観が求められる。