MTSS(≒シンスプリント shin splints)
スポーツ傷害
特に、ランニングによるスポーツ障害の代表格、シンスプリント。
その定義、分類は、近年変遷しています。
シンスプリントは、脛骨内側後面遠位1/3から中央1/3に疼痛を生じる
overuse症候群とされますが、下腿同部位に疼痛を生じる疾患が複数存在し
鑑別が難しいことから、定義の変遷が続き
近年、MTSS(medial tibial stress syndrome)で表記されることが定着しています。
進歩が著しい、画像診断装置によって原因の絞り込みは可能となっていますが
スポーツの現場において、理学所見から判断することは、とても難しく
疲労骨折と鑑別を誤ってしまうと、予後に大きな影響を与えることになります。
MTSSは、およそ、骨の微細損傷、筋の疼痛と張り、両者の混合の3タイプに分けられますが
この妥当性についても、今後知見を要するとしています。
MTSSの原因は、筋腱の牽引損傷、脛骨への曲げ応力とされ
脛骨後面に停止する後脛骨筋がそれを担っていたという認識が強かったのですが
疼痛発現部位には、ヒラメ筋・ヒラメ筋膜、長趾屈筋も停止しており、その解釈は統一に至っていません。
しかし、圧痛の位置と筋の起始が異なるため後脛骨筋は否定されつつあります。
発生因子として、女性に好発、体格の増大
足部アーチ構造をはじめとするマルアライメントなどが考えられていますが
これも十分なエビデンスを得るには至っていません。
実際、普段、アーチ高率を計測し高値であるにも関わらず
MTSSと考えられる症例をみることもしばしばあり
客観的スケールだけでは、図れない部分が少なからず存在すると実感します。
多くのスポーツ障害は、練習を休むことなく克服すべきだし
それは可能だと考えています。
そのためには、慎重な評価、プレイヤーの環境整備が重要になります。
早期の全快復帰に向けて尽力します。