恒常性の維持(ホメオスタシス)
ライフスタイル
人間には恒常性の維持(ホメオスタシス)という機能が生まれながらに備わっています。
体内の環境を一定に保とうとするこの働きは、内分泌系、免疫系、神経系が一体となって担いますが
これは、運動器(骨、筋、腱など)にも言えるのではないかと考えます。
以前、『バランスを保つ』という表題で書きましたが
人は動作を行うとき、少しバランスを崩したほうが行いやすいのではないのかと思います。
治療の評価で骨格のアライメントを殆どの場合確認しますが
まず、シンメトリーはありません。
少なからず症状があるので、当然なのかもしれませんが
しかし、治療後も視覚にわからないほど整うケースはまずありません。
そもそも、環境を一定に保とうとしている時点で
保てないことが前提で、だから安定するよう意識、無意識に関わらず
そう努めるのではないのかと思います。
何か、そするための理由がなければ
活動できないような構造になっているのかもしれません。
先のリオ五輪で、前人未到の3大会連続3冠を成し遂げたウサイン・ボルトは
先天性の脊椎側湾症でした。その克服のため、必要以上に筋力トレーニングを要しました。
あの恵まれた身体と、卓越した技術の裏にあった困難は、競技の妨げになったのではなく
むしろ、立ち向かうための理由になったと考えることができるかもしれません。
それを合理的に安定の方向に導くことが我々の仕事です。