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痛い時に動いても良いか?

鍼灸、その他治療

痛みの症状を持つ方に「動いても良いか?」という質問をよく受けます。

運動器(筋、骨、靭帯など)の損傷などが痛みの原因と考えられる症状では
ほとんどの場合、安静(何もせず横になるなど)を要するのは急性期のみです。

何がどうなっているか知りたくて病院を受診し診断が出ると
突然動けなくなる(動かなくなる)人は多いと感じます。

組織の損傷は、当たり前ですが修復に一定の時間を要し
その間、痛みなどの症状を伴います。

今日では、周知の通り、整形外科において術後即リハビリは当たり前で
安静が症状を緩解させるという考えはほとんどありません。

むしろ、免疫機能の賦活はこうした不具合の中で本能が刺激されて起こると思います。

ある実験で、腫瘍細胞を植え付けられたマウスは
選択とコントロールを与えられると高い確率で腫瘍をはねのけました。

自分で方法を選びそれをフィードバックして制御できれば免疫力が高まる裏付けです。

ADL(日常生活動作)が保てる状態では、痛みを回避しながら様々な動きを行えば
早期改善につながると言えるのではないかと思います。

その過程で、緩解スピードの加速と
二次的な症状の予防に我々の存在意義があります。

ツボの効果を上げるアライメント調整

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鍼灸師が施術において目指すのは、ツボ(経穴)です。
ツボは治療点であり、反応点でもあります。

成人の皮膚表面積は約1.7㎡、ある一点を目指すとなると
おにぎりの中の一粒の米に例えて良いくらい狭く小さい指標です。

WHO(世界保健機関)で承認されるのは、361個のツボの名前と場所ですが
人の身体を座標化して表すのはとても難儀で
教科書通りのツボを表現しても、人によって数ミリ違うことは
むしろ当たり前だと私は思います。

しかし、ツボという着地点への道しるべとして361個が存在するなら
暗中模索の心配は少なくなります。

要は、当たりを付けた一定の範囲で、これという一点のツボを
探せば良いのだと私は考えています。

ただ、効かせるのか、効いてしまうのかは
鍼灸師の裁量に委ねられるところは非常に大きいと思います。

木を見る西洋、森を見る東洋と言われますが
理想は、全身を見渡して最も有効な1点に導くことです。

残念ながら、私はそのような神業は持ち得ていないので
主訴から離れた場所の複数も治療点とします。

そして、構造的な問題(アライメント)を、殆どの場合整えることを大前提とします。

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経験的にこの作業の精度が上がるほど、ツボの効きが良くなると感じます。

本日、来院時の再現で側方、前方に肩関節の屈曲が90度に満たない事例で
施術後、完全屈曲を見ました。

施術前後で同じ一点を押さえたまま挙上を促しましたが
アライメント調整後、明らかな改善ということは
ツボの効き目を上げたと言っても良いと思います。

 

快不快の原因

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“痛い”という症状をもって来院されても、痛みの再現ができない方がいます。

痛みに限らず、病院へ行くと「あれっ!?」という感じになったことがある方は
案外いるのではないでしょうか。

こどもの訴える、不規則的な痛みを成長痛と表現しますが、医学的にそのような診断名は存在せず
こどもであっても、各種検査によって所見があれば確たる診断名が付きます。

何かおかしい。でも検査では異常はないとなれば自律神経(こころ)の問題で処理されてしまうわけです。

痛みをはじめとする不快な症状は神経を介して
色んな物質が電気信号の伝導・伝達に加担して起こります。

逆に、心地良い、快についても同じことが言えます。

ということは、想像できると思いますが、情動(内因)が大きく関与します。

人間は自分をわかっているようで、その実態をほとんど知らないと言ってもいいと思います。
環境変化で自分の内側が変わってしまうのです。

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鍼灸による鎮痛や、不快症状の改善は、これをうまく利用していると思います。

鍼=痛い、灸=熱い
これは注射や焚火など、生い立ちの中で学んだ既成概念です。

(昔、テレビで梅干しを知らないオスマンサンコンがデカい梅干しをほおばって
くしゃくしゃな顔になるのを見て爆笑したことを思い出しました(笑)が
一度やばいとわかると、その対象は反射的にフィルターにかけられます。)

しかし、実際受けてみると痛くない、熱くない。
想像と異なる事実に、緊張から弛緩へ一気にフィルターが取り除かれるのだと思います。

ゲート・コントロール理論と言いますが、不快な症状を作るのも、取り除くのも
機械的、物理的な刺激のみではないということです。

鍼灸効果の裏付けに必要なもの

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すっきりした秋らしい気候はあまり感じられませんが
長かった暑い夏の峠は越えたようで、スポーツに汗を流す季節になりました。

秋の大会やスポーツイベントに参加する方々の来院が増えていますが
なかには、大会が終わり、結果を報告してくれる方があり、とても嬉しいです。

普段、愁訴を抱えて来院し、略治に至る前にドロップアウトしてしまうケースが多く
治療の効果を反芻できないことを多く経験します。

また、私の場合、治療の終わりの線引きは、ほとんどの場合、患者さんに委ねるので
良かったのか、悪かったのか想像してもし切れません。

結果を報告してもらえると、治療の影響に触れることができるので
良くも悪くも、何が効果的だったか、考え直すことができます。

鍼灸治療は、このツボはこの症状に効きますという主治を謳った本もありますが
そんな簡単には行かないのが実際です。

例えば、このウイルスにはこの薬が有効、切れた腱を再建、血管内の血栓を除去などは
問題とそれに対する明確な解答によって、治療効果を双方で共有できますが
鍼灸の効果においては稀有です。

よって、患者さんからの治療効果に対する情報が、とても大きな役割果たすことになり
この積み重ねが、一つの薬が効果的であるというエビデンスに匹敵するものになってきます。

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以前、“治る”と“治す”について言及しましたが、だから、安易に治すという言葉は使えませんし
同じ症状だったとしても、同じ治療で同じ効果が出せるかというと
完全なイコールではないので、経験や知識から何かを模索しながらの作業になります。

東洋医学の考えを用いると、ヒトは自然の一部でそれは滞りなく変わり続けているので
同じことが通用しないのはもっともなのかもしれません。

しかし、それを考えながら仕事ができることは楽しみだし
治療の効果を伝えてもらえることは、最大限の喜びであり栄養源となります。

ツボの運用法

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鍼灸師が何を基準に施術するかというとツボ(経穴)です。

ツボは不規則に皮膚上に点在しているのではなく
経絡という縦横に走行する連絡網上に存在します。

経絡は現代医学の神経や血管の走行とは似て非なるもので
科学の発展した現代でも説明できるものではなく
鍼灸の効果を経絡を使って説明しようものなら
胡散臭く聞こえたり、眉唾的な存在になってしまいます。

しかし、経絡の概念を使い施術することで、症状の緩解がみられるのも事実で
標準化された言葉や身体部位、機能を用いた施術効果の説明、理解は
各流派の諸先生方が躍起になって継承されているところだと思います。

鍼灸の歴史から考えて、当時身体の中を診ることは不可能でした。

よって、身体の外側、つまり皮膚表面上の特徴を捉えることによって
病態を把握し、そこにツボが運用されるに至ったと考えることができます。

そして、時間をかけてツボがそれ以外の場所や内臓との関連
そこを刺激することで症状が緩解するという経験を理論化し
経絡の型を作り上げたのだと思います。

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鍼灸の効果は、同じ経絡の概念を用いても
施術する者の裁量によって異なるのも事実です。

どの鍼灸師が施術しても、同じ効果が出せる方法論を構築されている先生もありますが
それは経絡やツボの運用法が違う、また、経験だといわれると話が終わってしまいます。
少なからず、既存の経絡の概念に応用を加える必要があるのではないかと考えています。

人間は動物です。動く物です。

ならば、動かしながら評価する必要があるのではないかと思います。

だから近頃、身体の連動や動的な鍼灸を推進しています。

 

 

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