将来残るのは結果よりプロセス
ライフスタイル
大リーグシアトル・マリナーズのイチロー選手が引退を発表しました。
同じ歳ということもあって、プレイも然ることながら、プロアスリートとしての言動にも
興味を持ち注目していた選手なので、その意味ではとても残念です。
会見の全ての言葉が、メディアや視聴者のウケ狙いではなく
自分の中の自分と向き合った内容に感じました。
その中でも「2001年にアメリカに行ったときと、2019年現在の野球は全く違うもので
頭を使わなくても出来てしまう野球になりつつある気がすることが気持ち悪い」
というコメントに気が留まりました。
データ収集の進歩で選手、チームなど様々な情報が分析可能になり
分析通りにプレイできれば、欲しい結果が高確率で直線的に得られやすくなったことが
コメントの理由のひとつだと思いました。
2013年4000本安打達成のとき、イチロー選手は「良い結果が誇れるものではなく
4000本のヒットの裏にある8000回以上の悔しい思いと向き合ってきたことこそ誇れる」
と言っています。
自分の中で結果を求めて、不確かを確かにするために、日々試行錯誤を繰り返していたことが想像でき
結果が求められるプロの世界でありながら、プロセスこそ将来残るもので
重要であることを教示しています。
またそれを、世界の超一流が集う場で実行してきた経験がこのコメントに秘められていると思います。
科学技術の進歩はスポーツはもちろん日常に影響を与え、医療はその最たる分野です。
データが身体を見極め、迅速に治療が可能な世の中です。
ものさしが不具合を抱えた自分ではなく、データということは
改善したかどうかは自分の感覚ではなくデータに基づくということになります。
なぜ痛いのか?いつ痛いのか?何をすると痛いのか?
ものさしが自分の中にあればわかりそうなことがわからなくなってきている
そんな気がします。
科学技術が入り込む世界では、こういう観念が知らないうちに進んでいて
少なくとも、それらの恩恵によって今がある。
だから、目視可能なデータが現象の全てではない。ということを知る必要がある
ということをイチロー選手のコメントから考えさせられました。
苦しみから結果を得た人は、そのプロセスをどんな分野でも発揮できると思っているので
今後のイチロー選手にも間違いなく注目します。