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慣れを意識する

姿勢

鍼灸学校に通っている時、まず鍼を鍼管という筒に片手で入れる実技をします。
片手挿管と言います。

最初、とてつもなく難しく、ただ鍼を鍼管に入れるだけですが
口が一緒にへの字に曲がっていたように思います。

今、何も考えなくてもできます。
当たり前ですが、それに意識を持っていかれたら治療どころではありません。

しかし、稀にスムーズに入らないことがあり
治療にもリズムがあるので、その時は不快です。

意識しなくてもできる、またそれが頻回になればなるほどクセが出ます。

クセは漢字で書くと(癖)ヤマイダレにヘキ。
このヘキにはかたよるという意味があるそうです。

文字通り、かたよって病気になるのです。

意識しなくてもできる=慣れ
と考えると、慣れたことを意識できない状態は
やがて病気を招くと言うことができます。

歩く、座る
当たり前にできてしまっていることに
意識を注ぐことの大切さがそこにあります。

患者さんは見ていなくても
かっこよく見える片手挿管を考えてやることがあります。

偉業を支える土台

ライフスタイル

桐生選手が日本人初9秒台を出して
私はまだ興奮が冷めない感じが続いています。

多くのメディアが今回の結果を分析していますが
結局のところ、ストライドを大きくすることと
ピッチを速めること、この2点に集約されるのではないでしょうか。

そのために、100mという距離を加速、最大疾走、減速という
大きく3つの局面に分けて早くトップスピードに乗り維持し
減速しない方法を考え練習するというのが一般的です。

何事も効率的におこなって結果への最短距離を目指します。

ある方法は、ある時最短距離かもしれませんが
新しい方法が見つかると遠回りをしていた、つまり間違っていた(失敗だった)ことになります。

最短距離はその都度変化するし、人によって最短距離がどうかは違います。

今回の桐生選手、土江コーチのコメントにあったように
狙って出たものではないというところに、それを感じます。

しかし、最短距離が最短距離である前提として地固めが必要です。

面倒くさい地味で泥臭いことです。

この精度や反復が最短距離を決めると言っても良いと私は思っています。

桐生選手しかり、世界で活躍するスポーツ選手、結果を残す経営者、職人などは
間違いなくこの作業に意味を持ち、きちんと行っていると思います。

大記録や他にない成績、実績はもちろん賞賛されるものですが
その裏の見えない礎を我々は感じるので、ただの賞賛ではなくなるのだと思います。

 

制約の中での思考と再現

ライフスタイル

脳と運動についての本を読んでいたところ
今日の新聞に、全国学力テストを行った生徒(中学3年生)へのアンケートで
平日1日あたり部活動に費やす時間が1~2時間と答えた生徒の平均正答率がトップ、次いで2~3時間
3時間以上、全くしないは約1割正答率が下がるという結果とありました。

部活動と成績を短絡的に結び付け、このデータを鵜吞みにするのは危険ですが
生活にメリハリができるなどのメリットが考えられるとあります。

部活動や競技スポーツで時間を要する理由の一つは、再現性の精度を高めることです。

何度も同じ動きを行うことで、身体にしみこませるには時間が必要です。

では、長時間同じ動きをすれば再現性が高まるかと言えば、そうとも言い切れません。

進学校の野球部が1~2時間/日の練習で、甲子園に出場したこともあり
時間の長さとパフォーマンスの因果は完全ではありません。

人は制約の中で生きています。
むしろ、制約があったほうが伸びます。

つまり、限られた中で考え、行動するという循環に集中力が高まって
好結果に結びつくことが多いのです。

長時間の部活動や、部活動をしないことの否定ではなく
数時間という制約が、合理的な思考と、再現の集中を生むのだと思います。

この循環は部活動やスポーツに限らず、色んな生活場面で行える慣習となるのだと思います。

プロスポーツ選手のセカンドキャリアが問題視されることがありますが
要は、スキルアップのための仕組みの理解が違う場所で反映されるのであって
部活動、学業、スポーツ、仕事、あらゆるところで思考、再現の仕組みを発揮する循環はあります。

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