体幹筋を鍛えるとは
スポーツ傷害
寒さから暖かいを通り過ぎていっきに暑い陽気になってきました。
冬に地盤を固めてきた体にスピードを加え、例年の傾向通り
不具合を訴えるアスリートの来院が増えています。
練習の量と質を変え身体が順応できず不具合が生じていると思われますが
スムーズに移行できる選手がいることを考えると
形態的な違いを除いて、身体の使い方に問題があるというひとつの仮説が考えられます。
数年前からスポーツに限らず、健康や姿勢の概念で重要とされ始めた体幹筋。
体幹筋を鍛えるとパフォーマンスが向上したり
良い姿勢が保てると、暗に捉えられているように思います。
体幹筋の学術的な定義はありませんが
日本の体幹筋研究第一人者、金岡恒治氏によるとその構成は
腹横筋、多裂筋、大腰筋(深層(ローカル)筋)
外腹斜筋、内腹斜筋、腹直筋(浅層(グローバル)筋)とされます。
更に脊柱、肋骨、骨盤の骨格安定が得られない腹部の
横隔膜、骨盤底筋を加える考えもあります。
体幹筋とは、トルソ、つまり頭、腕、脚を除いた胴体を支持する
文字通り体の幹になる比較的大きな筋を指すと言えます。
これらを鍛えれば本当にパフォーマンスが向上したり良い姿勢が保てるのかというと
そうではないと考えます。
それは、鍛えるとは、高負荷をかけた筋トレで出力を上げるという理解ではなく
そもそもこれらは骨格筋という随意筋(意思によって動かせる)なので
意識して動かせるかという導入が不可欠だと思うからです。
歩くや走るは無意識下で行われる随意運動なので
出力(筋力)さえ上げれば速く行えると考えられがちです。
しかし、こうした動作は、大脳(皮質)という中枢部によって、関節、筋が
各々の活動パターンを制御されることで成立しています。
よって、どのような意識で運動を行うか(どこをどう動かすか)がとても重要で
体幹筋を意識して動かすという取り組みが必要不可欠と考えます。
現に、静止から運動を始めるときに最初に収縮する腹横筋を動かしてもらうと
できないケースが非常に多く、止まってできないものが動きながらできるとは考え難く
故障や不具合の原因の一つだと考えています。