鍼灸効果の裏付けに必要なもの
鍼灸、その他治療
すっきりした秋らしい気候はあまり感じられませんが
長かった暑い夏の峠は越えたようで、スポーツに汗を流す季節になりました。
秋の大会やスポーツイベントに参加する方々の来院が増えていますが
なかには、大会が終わり、結果を報告してくれる方があり、とても嬉しいです。
普段、愁訴を抱えて来院し、略治に至る前にドロップアウトしてしまうケースが多く
治療の効果を反芻できないことを多く経験します。
また、私の場合、治療の終わりの線引きは、ほとんどの場合、患者さんに委ねるので
良かったのか、悪かったのか想像してもし切れません。
結果を報告してもらえると、治療の影響に触れることができるので
良くも悪くも、何が効果的だったか、考え直すことができます。
鍼灸治療は、このツボはこの症状に効きますという主治を謳った本もありますが
そんな簡単には行かないのが実際です。
例えば、このウイルスにはこの薬が有効、切れた腱を再建、血管内の血栓を除去などは
問題とそれに対する明確な解答によって、治療効果を双方で共有できますが
鍼灸の効果においては稀有です。
よって、患者さんからの治療効果に対する情報が、とても大きな役割果たすことになり
この積み重ねが、一つの薬が効果的であるというエビデンスに匹敵するものになってきます。
以前、“治る”と“治す”について言及しましたが、だから、安易に治すという言葉は使えませんし
同じ症状だったとしても、同じ治療で同じ効果が出せるかというと
完全なイコールではないので、経験や知識から何かを模索しながらの作業になります。
東洋医学の考えを用いると、ヒトは自然の一部でそれは滞りなく変わり続けているので
同じことが通用しないのはもっともなのかもしれません。
しかし、それを考えながら仕事ができることは楽しみだし
治療の効果を伝えてもらえることは、最大限の喜びであり栄養源となります。