鍼灸師像
ライフスタイル
開院して12年目であるが度々触れているように
鍼灸の世界はいわゆる一般社会から少し離れていると思っている。
受けたことがある人の少なさや効果の認知度などからそう思う。
僕自身は鍼灸師になるずっと前から患者歴が長くあるので
元々それほど遠い存在ではなかった。
だからこそ俯瞰視しようと努めなければ本当の患者ニーズに応えれないと思う。
鍼灸に対して興味が全くない人(世の中の殆どだと思うが)は別として
興味はあるが受けたことがない人の足かせになっている最大の原因は
鍼は痛く灸は熱いだと言われている。
いくら痛くない熱くないと言っても潜在意識は実際経験しなければなくならないだろう。
このライオンはきちんと調教されてますので絶対襲ってきません。
さぁ触ってみて下さいと言われても僕は絶対触れないと思う。
例えが極端だがそんな感じに違いない。
では興味の部分を考えた時、当然今ある不快な症状を楽にしてくれるかも…が最優先で
知らない世界が故にその期待が膨らむ。
例えば1年患った痛みを一発で取り除いてくれるなどの妄想(期待度が高いと仮定してあえて)。
科学的な裏付けに基づく西洋医学は保険制度や認知度から
患者が受け慣れしていて検査、診断、治療が想像できてしまうのかもしれない。
僕に鍼灸受鍼歴がなく興味を持った人だとしたら
鍼灸師とは白髪頭で口顎に長い髭を蓄えたお爺さんをイメージする。
そして怠惰な生活を見透かし強面で改めるよう叱る。
鍼灸の効果ではなく鍼灸師の人物像を想像してしまったのだが
知らないおじさんに叱られる環境は昔と比べて随分少なくなった。
ましてや大人が誰かに叱られる状況は想像し難い。
人にはわかってはいるが止められない惰性的な面があって
それを注意して改めさせたり気付かせることができるのは家族や身内ではなく
全く所縁のない誰かだったりするし、かなり効果的だったりする。
僕の勝手な想像はひょっとすると鍼灸に興味のある人が少なからず見えないところに持っていて
注意されたり指摘されたいのかもしれないと思った。
白髪頭で長い髭を蓄えるにはまだまだだし、そこを目指しているわけではないが
注意指摘が患者さんのためになるならば年相応の態度でお伝えしたい。